講演会「私たちが知らないクマの生態・クマの魅力」

4月16日、「私たちが知らないクマの生態・クマの魅力」という講演会に参加した。

タイトル:私たちが知らないクマの生態・クマの魅力
主催:ツキノワの会~人と野生動物との共存を考える~
テーマ:足尾のツキノワグマを長年、撮影されてきた横田 博さんからツキノワ
の魅力や知られない生態、NHK等で放映されていない未公開映像などを見せても
らい、お話を伺います。

広葉樹を植林する背景

戦後住宅が必要になって杉を植えたが、安い外材が入ってきて不要になり手入れがされなくなった

針葉樹は実がならない

=>獣害(シカ、クマ、サル、イノシシ)

そこでブナやミズナラなどの広葉樹を復活させることでいろいろな動物が戻ってくると期待し、広葉樹を植えることに

過去の植樹

時期: 1997年3, 4月(2回に分けて)

本数: 560本

種類: コナラ、カツラ、サワグルミ

現在の様子: 50cm程度の苗木が鬱蒼とした森になった

過去の植樹

時期: 2001年~2004年、2015年(6回)

本数: 800本

種類: ブナ、ミズナラ

カモシカの親子の動画

子が親にじゃれついている動画。時折成獣のオスのような角の付き合いをしており、このように学習するのかと思った。

 

横田 博

森の王者 ツキノワグマ  ~母と子の知られざる物語~

もともとは魚を撮る水中カメラマン

=> 足尾でクマのカメラマン

NHK ワイルドライフで「次郎熊と仔殺し伝次郎熊」でクマの子殺しを撮影した。

1年に100日山に入る

共存とは

山間部と野生の境目はおしくらまんじゅう

互いにリスクを払わなけらばならない

畑の作物は取られるが、一方でシカを食べることができる

シカは命、人間は作物で互いにリスクを差し出している

最近は人間がリスクを0にしようとしていてそれはわがままだ(というか筋が通らないぐらいのニュアンスか)と言葉の裏に感じた

野生との距離

最近は足尾にも観光客?が入るようになってクマが消えてしまった

もともと奥山には大きいクマが陣取っている

奥山に人が入るようになると大きいクマが里山に近い方に移動する

すると元からそこにいた若いクマや親子連れが里山に追いやられる

という仮説を立てていた。なるほどと思う。

横田さんも「この川より先には行かない」とルールを決めている

排泄と動物

タヌキが人糞を食べたり

廃屋にカメラを設置したらトイレに来るものが多い

シカが便所のヘリで硝石を舐めていたり

野生動物の死骸

カモシカなどの天然記念物や指定地域以外のものはゴミ扱い

外傷があるなど密猟と判断することができなければ(=自然死ならば)発見者

自由にして良い

クマの死体は長年カメラマンをやってきて1体しか見たことがない

穴の中で死んでいるのでは、と仮説していた

興味深かった点

神へ祈って撮影を始めるとか、験担ぎで山菜を採らないとか、自分ルールのようなものがあった。

自然と長く接しているとそういった独自のアミニズム的なものができあがるのだろうか。

自分自身に信仰はないが、相手のものは尊重したい。

残念だった点

質疑応答の最後に、参加者が動物愛護団体の宣伝していたのがいただけなかった。というかそれ目当てで来ていたっぽい。

いわゆる「クマ大好きだから殺さないで」派だ。

別に個人の自由だが、その観点からの保護は危険だ。

結局パンダは可愛いから保護しましょう。カエルは別に好きじゃないから絶滅しても気にしない、という思想になりそうだ。

ベースとして命は平等。滅びそうなものは助けるし、増えすぎて別種を危険にさらす種は減らすべきというのが僕のスタンスだ。

好きだから助けるは嫌いだから殺しても構わないになりそうで怖い。

参考

森の王者 ツキノワグマ~母と子の知られざる物語~

栃木、足尾山地、ツキノワグマ、復活の森を生き延びろ

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